写真の会賞
西井一夫が呼びかけ文を起草し、同年12月3日、発会の会合がマリオン14階の朝日新聞社の談話室で開かれた。第1回の参加者は、生井英考、伊藤俊治、大島洋、柏木博、加藤哲郎、川本道子、鈴木志郎康、鈴木一誌、高島直之、丹野清和、中村富貴、西井一夫、日高敏、松山厳、宮本靖亜規。4回の会合の後、第1回の写真の会賞が決まり、89年5月、受賞パーティーが有楽町、レバンテ3階で開かれた。第1回受賞作品は「幸運の町」(大島洋)、「夢の走り」(鈴木清)、「上海紀聞」(中川道夫)で、それぞれに10万円贈られた。尚、自分の作品が推薦されたことで、大島洋は選考委員を辞退する。このことがきっかけになって、写真家を会員に入れないという約束が生まれた。

写真の会賞は作家賞ではなく、写真的行為に対して出されるもので、実際に、製版や印刷の仕事の担当者である野口啓一や吉田寛(第8回)、また、ロバート・フランクの写真集の編集者である元村和彦(第9回)に賞が贈られた。写真批評メディアが壊滅的な状況下、広い視野からの写真表現の観察および理解を目的にしているが、その具体的活動として、若手写真家の写真を見ながら本人に直接話を聞く機会や、受賞者のインタヴューの場を設けたりしている。
■第1回(1989年)
●大島洋『幸運の町』(写真公園林)
●鈴木清『夢の走り』(OCEAN BOOKS)
●中川道夫『上海紀聞』
選考者:生井英考、伊藤俊治、大島洋、柏木博、加藤哲郎、川本道子、鈴木一誌、鈴木志郎康、高島直之、丹野清和、中村冨貴、西井一夫、日高敏、松山巌、宮本靖亜規、柳本尚規
■第2回(1990年)
●荒木経惟『写真論』(河出書房新社)、『東京物語』(平凡社)
●古屋誠一『Memoire1978-1988』
●中平卓馬『Adieu a X』(河出書房新社)
選考者:生井英考、伊藤俊治、追分日出子、大島一洋、太田順一、小野重子、加藤哲郎、川本道子、近藤幸夫、鈴木一誌、鈴木了二、高島直之、丹野清和、中村冨貴、西井一夫、日高敏、船山直子、松原犀火、松山巌、宮本靖亜規、柳本尚規
■第3回(1991年)
●高梨豊 『面目躍如』(平凡社)
●土井九郎『越南世界』(第三書館)
選考者:生井英考、大島一洋、小野重子、川本道子、鈴木一誌、高島直之、中村冨貴、西井一夫、松山巌、宮本靖
■第4回(1992年)
●荒木経惟『空景/近景』(新潮社)
●平地勲『APARTMENT』(アーバン・コミュニケーションズ)
●尾仲浩二『背高あわだち草』(蒼穹舎)
選考者:生井英考、伊勢功治、追分日出子、小野重子、鈴木一誌、高島直之、中村冨貴、西井一夫、松山巌、宮本靖亜規、柳本尚規
■第5回(1993年)
●鬼海弘雄 『INDIA』(みすず書房)
●庄司丈太郎『明日また釜が崎・沖縄』(現代書館)
●石井和彦『江原さんと猫』(ポレポレタイムス社
選考者:生井英考、伊勢功治、追分日出子、大島一洋、小野重子、柏木博、佐久間憲一、佐野久夫、鈴木一誌、富田茂男、中村冨貴、西井一夫、松山巌、宮本靖亜規、柳本尚規
■第6回(1994年)
●妹尾豊孝『大阪環状線海まわり』(マリア書房)
選考者:生井英考、伊勢功治、追分日出子、大島一洋、小野重子、柏木博、鈴木一誌、西井一夫、松山巌、 宮本靖亜規、勇崎哲史
■第7回(1995年)
●楢木逸郎 『NOMADS』(COUNTRY PRESS)
●丹野清志『1969-1993東京・日本』(ナツメ社)
●本橋成一 『無限抱擁』(リトル・モア)
選考者:生井英考、伊勢功治、追分日出子、大島一洋、小野重子、佐久間憲一、菅原朝也、鈴木一誌、鈴木文枝、西井一夫、松山巌、宮本靖亜規
■第8回(1996年)
●瀬戸正人:写真展「LIVING ROOM」「SILENT MODE」「VIETNAM MUANG HANOI」に対して
●トッパンプロセス・野口啓一、凸版印刷・吉田寛:『まぼろし国・満州』(新潮社)の製版と印刷の仕事に対して
選考者:生井英考、伊勢功治、小野重子、菅原朝也、鈴木一誌、鈴木文枝、西井一夫、西川茂
■第9回(1997年)
●元村和彦:ロバート・フランクの写真集などの編集に対して
選考者:生井英考、伊勢功治、小野重子、菅原朝也、鈴木一誌、鈴木文枝、西井一夫、西川茂
■第10回(1998年)
●浜田蜂朗『殺風景』(浜田蜂朗写真集刊行会)
●酒井淑雄『路上の光暈』(Mole)
●武藤ゆかり 『ついのすみか』(Bee Books)
選考者:生井英考、伊勢功治、小野重子、菅原朝也、鈴木一誌、西井一夫、西川茂、深川雅文